2017 年 55 巻 4 号 p. 263-268
細胞が,その生存が脅かされるほどの強い環境ストレスを受けたとき,じっと耐えるもの,積極的に応答して状態を変えるもの,あるいは運良く元々適合的な状態にあったために生き延びるものなどがいるかもしれない.そのような強いストレスに置かれたときの個々の細胞の動態を顕微鏡下で観察できれば,ある細胞集団が生き延びたとき,その背後で個々の細胞がどのような生存戦略を用いたのかがわかるだろう.実際,パーシスタンス現象と呼ばれるバクテリアの適応・順応現象の1細胞計測から,生物種や環境に応じた異なる生存戦略が明らかになりつつある.