2019 年 154 巻 2 号 p. 78-83
21世紀の本格的ゲノム創薬時代に突入してからも,難治性疾患(アンメットメディカルニーズ)に対する画期的治療薬(First-in-Class)開発は,困難を極めてきたが,米国FDAに承認された62%の画期的新薬は,フェノタイプスクリーニングにより見出されている.次世代ゼブラフィッシュ創薬は,ハイスループットin vivoフェノタイプスクリーニングを可能にし,現在グローバルな創薬戦略にインパクトを与えている.高度免疫不全マウスに比較して,ゼブラフィッシュによる患者がん移植の生着率の高さや生着速度の速さから,抗がん薬選択のための臨床体外診断システムとして,真の個別化医療ツールになることが期待されている.従来の個別化医療のオミクス基盤に加え,患者がん移植ゼブラフィッシュによる個別化医療は,その患者の治療薬選択に活用する真の次世代プレシジョンメディシンであり,大きなパラダイムシフトが実現しつつある.