1979 年 5 巻 6 号 p. 596-600
攪拌翼の回転速度の増加とともに核発生速度が増加する範囲の操作条件で, カリ明礬系の2次核発生速度に対する攪拌翼と結晶との衝突の影響を調べた.流動層種晶中に攪拌翼を挿入した核発生器を実験装置として用いた.なお, 種晶に対して, 攪拌翼による攪拌が直接作用するようにするために, 種晶流動層の高さを攪拌翼の幅とほぼ等しくなるようにした.また, 発生した核は顕微鏡により観察し直接計数した.
2次核発生速度と過飽和度の相関が得られ, 指数として1.3~1.6を得た.この値は, 流動層種晶および, 2次核を発生する種晶となりうる最小粒径付近の種晶により得られた指数3.3より小さく, 成長速度に対する過飽和度の指数とほぼ近い値で, この結果をLarsonらの衝突部分の再生現象モデルと比較検討した.
また, 攪拌槽中の2次核発生速度に対するde Jongらのモデルを発展し, 攪拌翼の攪拌による2次核発生速度に対する新しい式を提出した.そして, 本研究で得た実測データをこの式に従って相関した.