2012 年 38 巻 6 号 p. 415-423
近年,自然エネルギーの導入拡大を目的として,限定されたエリアにおけるエネルギーの需給バランスを高度に管理するスマートコミュニティの研究が行われている.本報告では,太陽光発電(以下,PV と記す)と電気自動車(以下,EVと記す)を組み合わせた複合システムに着目し,特定エリア内の複数のEVが保有かつ移動するエネルギーの増減を他のエネルギーと同時に定量的な一元評価ができるモデルを開発した.開発したモデルを用いて,実車の走行データに基づき,これらをEVへ変更した場合にPV電力を有効に活用する方法を検討した.その結果,PVとEVの複合システムの仕様を設計する際に,CO2削減効果と経済性を示す指標としてEV消費電力のPV比率とPV電力のEV利用率を定義した.また,これらの指標を用いて,PVの設置場所,面積およびEVの蓄電池容量をEVの使用状況に応じて設計できることを明らかにした.