化学工学論文集
Online ISSN : 1349-9203
Print ISSN : 0386-216X
ISSN-L : 0386-216X
反応工学
流動層でモル数減少を含む気相反応を行う場合の未反応ガスリサイクルによる非流動化の防止
松村 彰洋甲斐 敬美中里 勉中島 充幸
著者情報
ジャーナル 認証あり

2012 年 38 巻 4 号 p. 272-277

詳細
抄録

モル数減少を伴う気相反応を流動触媒層で行った場合,反応の進行によってエマルション相中のガス速度が最小流動化速度よりも低くなると,非流動化が生じる.非流動化を起こさないような安定した流動化状態で運転する方法として,反応速度を抑えて体積の減少速度を制御する方法が考えられる.ただし,この場合には反応器出口の反応率が低くなるため,分離装置で未反応ガスを回収してそのガスを循環させることによって系としての総括の反応率を高める必要がある.このような運転を行う場合のリサイクル比の設定について,既往の実験データとモル数減少を考慮した流動層反応器モデルに基づいて検討した.反応速度の増加に伴いガス体積減少速度が増加したときに非流動化が起きるので,安定した操作のためには許容できる最大の反応速度定数が存在する.反応速度が低くなるほど反応器出口での反応率も低くなり,リサイクル比を高く設定しなければならないため,反応条件に応じたリサイクル比の最小値を求めた.

著者関連情報
© 2012 公益社団法人 化学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top