化学工学論文集
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プロセスシステム工学,安全
処理時間の変動を考慮したバッチプロセスにおけるバッチ間バッファ時間設定方法
河野 浩司長谷部 伸治
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2007 年 33 巻 4 号 p. 354-362

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抄録

一般にバッチプロセスでは,プロセス上のトラブル,原料品質のばらつきなどにより,各単位操作の処理時間は変動する.このような変動は,次バッチ以降のバッチの開始時刻に影響を与え,運転員に対しては作業タイミングのずれや作業順序の変更により予定外の作業負荷となる.これは,ヒューマンエラーを誘発するだけでなく,原料手配,検査,出荷等の関係業務にも影響を与え,運転管理上対応策を検討すべき課題の一つとなっている.従来,このような変動に対しては,バッチ間にバッファ時間を持つことにより対処してきたが,その与え方の根拠は明確ではなかった.そこで本研究では,変動対応策としてのバッチ間のバッファ時間のシステマティックな決定法を提案する.
まずスケジュールが与えられたとき,ある装置の処理の遅れがその時刻以降のスケジュールに与える影響を求めた.そして,あらかじめ定めた範囲の遅れに対して,あらかじめ定めたバッチ数以内でその遅れを吸収できるようなバッチ間のバッファ時間の定め方を提案した.さらに,生産機会重視,ヒューマンエラー防止重視,用役コスト重視などの様々な戦略により,特定の処理時間が短縮可能という条件下で処理時間の変動を吸収するために必要なバッチ間のバッファ時間の導出方法を提案した.そして,これらの手法の有効性をシミュレーションにより確認した.

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© 2007 公益社団法人 化学工学会
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