日本化学会誌(化学と工業化学)
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無定形シリカの粒子表面細孔および一次粒子間間隙に浸入する水によって引き起こされるポリビニルピロリドン共存下でのコンドロイチン-6-硫酸ナトリウムおよびナトリウムカルボキシラトメチルセルロースの見かけの負吸着
嶋林 三郎西野 和美有馬 賢一宇野 公之中垣 正幸
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1996 年 1996 巻 2 号 p. 121-128

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抄録

コンドロイチン-6-硫酸ナトリウム(Na2Chs)とポリビニルピロリドン K-90 (PVP),あるいはナトリウムカルボキシラトメチルセルロース(NaCMC)と PVP との混合系(154mmol/dm3NaCl水溶液)から無定形親水性シリカ Micon FN へこれらの高分子を吸着させた。初濃度c0 と平衡濃度 c1 との差より吸着量を求めると, Na2Chs と NaCMC とについては PVP の混合比が大であるときに負の値となった。この負吸着の原因は, Micon FN 粒子表面の細孔や粒子間空隙(体積 Vp )に溶媒の食塩水のみが取り込まれ,バルク相中で高分子が濃縮されるためと結論した。この体積 Vp を,(1)吸着平衡に達した上澄み液を 2 段階に希釈して計算により,見かけの吸着等温線の傾斜より,(3)ナトリウムイオンの活量測定より,求めた。この 3 通りの方法で求めた値はほぼ一致して, Vp=2-6ml/g となった。この間隙水量 Vp を用いて見かけの吸着量を補正し,これらの高分子の真の吸着量を求めたところ,いずれも正の「正常な」吸着量となった。

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