日本化学会誌(化学と工業化学)
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ゼオライトによるP-およびm-t-ブチルブロモベンゼンの分解反応における選択性と活性劣化
高橋 武重甲斐 敬美江田 道治田代 昌士
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1989 年 1989 巻 3 号 p. 493-497

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抄録

固体酸触媒を用いて p-および m-ブチルブロモベンゼンの分解反応を行なうと, 脱 t-ブチル反応と脱臭素反応が同時に進行することが知られている。この反応の選択性と活性劣化におよぼす強酸点濃度および触媒の細孔径の影響を検討するために, HY型, H-モルデナイト型 (HM) ゼオライトおよびシリカアルミナ触媒を使用して, 気-固相分解反応を行ない, 速度定数とプロセス時間の関係を測定した。
HMは, シリカアルミナよりも大きな強酸点濃度を保有しているにもかかわらず, 脱 t-ブチル反応速度定数, とくに m-t-ブチルブロモベンゼンの速度定数が小さくなった。これは, HMの入口細孔径がHYおよびシリカアルミナに比較して小さく, 反応物質の拡散が見かけの反応速度を支配することに起因すると考えられる。また, HMによる脱臭素反応速度定数は, HYおよびシリカアルミナ触媒に比較して非常に小さくなった。この差は, 触媒の活性劣化の原因となるコークの析出速度の差に起因すると考えられる。

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