日本化学会誌(化学と工業化学)
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2-ヒドロキシエチルーメタクリレート-スチレンマクロマーグラフト共重合体の表面の親水性とESCAによる表面分析
山田 和典山田 雅和木村 知宏和泉 剛平田 光男
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1989 年 1989 巻 1 号 p. 105-110

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抄録

組成の異なる 2-ヒドロキシエチル = メタクリレート (HEMA) -スチレンマクロマーからなるグラフト共重合体を合成した。この共重合体の DMF 溶液を水銀上にキャストして得られるフィルムの水銀・側表面は空気側表面にくらべて親水性があり, 同一組成のグラフト共重合体では, スチレンマクロマーの分子量が大きくなると疎水性が高くなった。
空気側表面は, HEMA が80 wt%以上になると急激な親水性を示した。これらの表面特性はその表面自由エネルギーの極性成分〓の影響を受けること, また, 高分子のスチレンマクロマーによる極性成分の隠ぺい効果によることが推測された。ESCA による表面分析から, 空気側の表面組成はバルクの組成と変わらないが, 水銀側表面では極表面に極性基が高密度で存在し, その極表面層下での極性基の密度がバルクより低いことから, 極表面層だけがこのグラフト共重合体の表面特性を支配しているものと考えられる。

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