日本化学会誌(化学と工業化学)
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空気希釈の一酸化窒素を用いる5-アミノ-2-ナフタレンスルホン酸のジアゾ化
高橋 一公塩谷 寛粟原 光雄飯田 弘忠
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1983 年 1983 巻 8 号 p. 1159-1164

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抄録

一酸化窒素を用いて芳香族第一級アミンをジァゾ化できることはすでに知られているが,詳細は明らかにされていない。そこで本研究では,使用した一酸化窒素と生成したジアゾニヴム塩間の量的関係を明らかにするのが目的で,種々の条件下でこの反応を行ない,つぎのような知見を得た。(1)第一級アミンとしては5-アミノ-2-ナフタレンスルホン酸〔1〕を用いるのがもっとも好都合であった。〔1〕のエタノール水溶液に空気希釈の一酸化窒素を接触させると〔1〕はジァゾ化されてそのジアゾニウム塩〔2〕になり,これが未反応の〔1〕とアゾカップリングして,5-アミノ-8-(6-スルホ-1-ナフチルアゾ)-2-ナフタレンスルホン酸のニナトリウム塩〔3〕を生じるので,〔3〕を分光学的に定量することにより〔2〕を間接的に定量することができた。(2)一酸化窒素単独では〔1〕をジアゾ化できないが,空気が共存するとジアゾ化反応が進行した。(3)このジアゾ化反応は,反応液に臭化カリウムまたはオルトバナジン酸ナトリウムを添加することにより促進された。(4)反応条件を選べば,一酸化窒素1molあたり1molのアゾ色素〔3〕を生じることが明らかになった。したがって,この反応が一酸化窒素の化学的定量方法として適当であることがわかった。

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