理科教育学研究
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原著論文
中学校理科「生物・地学」領域を通した科学的進化概念形成に関する授業開発
―「自然選択説」に基づいた仮説を推論するパフォーマンス課題を事例として―
名倉 昌巳松本 伸示
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2018 年 59 巻 2 号 p. 205-215

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抄録

本研究の目的は, 2つの開発した授業による中学生の科学的進化概念形成の様相を検証することである。「生物進化」に関する誤解は多く, 根強く保持される「獲得形質の遺伝」など誤概念を指摘する先行研究も多い。本研究では中学生に進化のしくみを理解させるために, 「どのようにして生物は進化するか」に着目して, 学習到達目標として3つの要素(Adaptation: 適応, Variation: 変異, Selection: 選択)を導入した。その到達目標に従って1年地学領域から2年生物領域に及ぶ, すなわち2学年2領域にわたる「逆向き設計」による授業開発を行った。さらに, その生物領域の授業計画の中心となる課題には, 「自然選択説」に基づいて進化仮説を推論する「パフォーマンス課題」を準備した。その結果, パフォーマンス課題の評価分析や2領域間を比較した質問紙調査の統計的検定から, 中学生の科学的進化概念の形成過程の一端を明らかにすることができた。

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© 2018 日本理科教育学会
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