主催: 水文・水資源学会/日本水文科学会
会議名: 水文・水資源学会/日本水文科学会 2022年度研究発表会
開催地: 京都
開催日: 2022/09/04 - 2022/09/07
泥炭地は地域特有の植生と高い地下水位によって成立しており,急速な温暖化の進行や人為的な地域水文環境の変動によって大きな影響を受ける可能性がある.一方で泥炭地の経年変化を数理モデル化した「泥炭堆積モデル(Peat Accumulation model)」においてその目的の多くは気候変動に対する炭素の固定量の変化の算出であり,透水係数をはじめとする各係数や堆積量などについて実際の泥炭地での観測との比較が行われた例は少ない.そのため,泥炭堆積モデルにおいて計算された各係数の値が,実際の値と一致しない可能性がある. ここでは,泥炭堆積モデルの最新モデルの一つであるMPeatについて感度分析を行い,どのようなパラメータがモデルの計算結果により大きな影響を及ぼすのか,観測結果と照らし合わせる必要があるかを明らかにした. 泥炭堆積モデルMPeatの感度分析の結果,泥炭地の半径や透水係数のパラメータ,ヤング率のパラメータ,植物の生産量がモデルの結果に特に大きな影響を与えていることが確認された.泥炭堆積モデルによる堆積予測を行う際には,対象地域の泥炭の特性を観測などにより十分理解する必要があると思われる.