水文・水資源学会研究発表会要旨集
水文・水資源学会2017年度研究発表会
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【降水(2)】9月20日(水)11:00~12:15
札幌圏において2014年9月に発生した線状降水帯の三次元風速場
大屋 祐太*長尾 賢汰*山田 朋人
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p. 28-

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抄録

複数のドップラーレーダと変分原理を用いることによって大気の三次元場の議論が可能になる.本研究では,気象庁によって設置・管理されている2基のCバンドレーダを用い,2014年9月に札幌圏で発生した線状降水帯を対象に降水を伴う気象場を分析した.三次元的な風速場の解明によって線状降水帯などの予測及び対策を可能にし,大規模災害を防ぐことに役立つと考えられる.
 使用した手法は,航空機搭載型のレーダによる観測のため考案され,その後地上レーダに特化した手法である.同手法は3項からなる二次元変分法を用いて計算する。 3項はそれぞれ極座標系から直交座標への内挿を行う項,質量保存項,平滑化項である.
 解析対象は,札幌近郊に住む90万人に避難勧告が出され北海道で初となる特別警報となった2014年9月11日の豪雨である.観測結果を同化し日本付近の大気場を補間した気象庁数値モデルと比較した場合,レーダ解析の結果からはより詳細な風速ベクトルを検知でき,線状降水帯の南東に位置の降水域で大気の水平鉛直循環を発見した.また強い反射強度を示す部分では上昇気流が発生し深い積乱雲の構成に寄与していることも示唆された.

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