地球温暖化に伴う海面の上昇は,台風の頻度と強度,及び他の極端現象と関係を有する.既往研究は,海上に生じる飛沫が台風の発達に寄与することを示した.しかし飛沫の影響及び発生メカニズムは不明点があり,現在広く使用されている気象モデル及び天気予報には飛沫の影響は考慮されていない.そこで発表者らは飛沫の正確な観測データから解析を行い不明点を解明するべく,ピストン式造波装置付き水路を用いた風洞実験を行っている.しかし実験室スケールの実験は台風のスケールと異なるので,台風を直接観測したデータを利用して比較解析する必要がある.本研究は発表者らによる和歌山県近郊の田辺湾に設置した飛沫の粒径観測の結果をレポートするものである.今回の使用した観測機器パーシベルは本来雨滴観測用に用いられる観測機器であるが,観測粒径範囲が他の観測機器より比較的大きいため今回の観測に利用した.上記の発表者らの観測地では,2015年の台風イベント発生時において,1.5~5.510mm粒径の飛沫が観測された.発表時には,観測地に基づく強風下における飛沫と風速の関係を議論する.