耳鼻咽喉科展望
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柴朴湯吸入の抗アスピリン喘息効果
西澤 芳男西澤 恭子吉岡 二三永野 富美代谷垣 由美子竹内 光一後藤グレイシー 広恵伏木 信次
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2001 年 44 巻 Supplement1 号 p. 5-13

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抄録

柴朴湯 (Cai-pu-tang) 内服時の柴朴湯の気道局所濃度とin vivo, in vitro実験系における柴朴湯との濃度差は著しく, 本差異を解消する目的のため柴朴湯吸入療法を開発した。本法施行時, in vivo, in vitro実験系とは同濃度の柴朴湯が病変局所でえられる。このため臨床上柴朴湯の多種にわたる抗アレルギー薬理効果が発現する。アスピリン喘息 (aspirin-induced asthma) 患者を乱数表で2群に分け, 6ヵ月間一群には柴朴湯 (100 μg/ml×5ml/回/3回/日), 他方に生理食塩水をjet型nebulizerで6ヵ月間吸入させた。1秒率, ピークフロー値, 気管支肺胞洗浄液中leukotriene, eosinophil cationic protein, 好酸球, 各種interleukinを測定した。柴朴湯群ではアスピリン吸入で低下した呼吸機能の有意な改善, アスピリン吸入で増加した気管支肺胞洗浄液中LTs, eosinophil cationic protein, 好酸球, interleukin-3, 4, 5, 8の有意の低下を認めた。6ヵ月間吸入で柴朴湯群はplacebo群に比較し発作が有意に抑制され, QOLを有意に改善した (副作用 : 両群間有意差は (-)) 。
本結果から, 柴朴湯吸入はアスピリン喘息に有効であること, 柴朴湯は多種薬理効果を有するため, 柴朴湯吸入療法ではLT増加抑制以外にも多種因子が病因に関与するアスピリン喘息のような疾患に有効である可能性が示唆された。

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