小麦の粒厚選別による水分別乾燥技術確立を目的とし, 粒厚選別後の乾燥条件を小麦粉品質の面から検討した。乾燥工程前の小麦を目開き3.2mmの篩を用いて粒厚選別し, 選別区ごとにそれぞれ乾燥した。乾燥条件は, 薄層条件で50℃および60℃, ビーカー充填による無通風条件で40℃, 50℃, 60℃の5条件を設定した。分析は, 製粉後, 分光測色計およびラピッドビスコアナライザーにて行った。
粒厚選別については, 篩下区, 無選別区, 篩上区の順に粉色が好ましく, 澱粉品質は乾燥工程時に通風が少ない場合でも, 低水分の篩下区は劣化しにくく, 逆に高水分の篩上区は劣化し易い傾向が認められた。
乾燥条件について, 薄層乾燥では乾燥温度の明確な影響は認められず, 無通風条件では乾燥温度40℃の場合には澱粉品質, 60℃の場合には粉色が大きく劣化したが, 50℃の場合は両品質とも大きな劣化は認められなかった。
また, 通常安全とされる乾燥温度40℃であっても無通風となれば劣化し, 乾燥温度が60℃でも充分な通風があれば劣化しにくいとの知見を得た。