言語研究
Online ISSN : 2185-6710
Print ISSN : 0024-3914
書評
Ping Li・Yasuhiro Sh.irai 2000 『語彙的アスペクトと文法的アスべクトの獲得』 Berlin;New York:Mouton de Gruyter
白井 英俊白井 純子
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2002 年 2002 巻 121 号 p. 151-164

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抄録

本書は,二人の優れた言語習得研究者が,アスペクトの習得について,第一言語獲得および第二言語習得研究領域における最先端の研究をまとめ,主として彼らの自身の研究を基に,プロトタイプ;コネクショニスト的な説明を試みたものである.発達論的および対照言語学的な観点からアスペクトの習得を考察し,どのようにして子どもがアスペクトの語彙的,文法的体系を構築していくか,言語によって習得の過程にどのような違いがあるか,アスペクトの習得における言語普遍的な性質と差異とがどのような心理学的,計算的なメカニズムで捉えることができるか,について述べている.英語,中国語,日本語を取り上げて,対照言語学的にアスペクトの習得を詳述してある点,コネクショニストモデルを実装しコーパスデータに基づいて検証している点が特徴的である.言語習得研究者のみならず時制やアスペクトに関心がある言語学者にとって必読の書である.

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© 日本言語学会
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