2017 年 58 巻 7 号 p. 590-598
繊維・アパレル産業の企業間取引ネットワークにおいて,8 分野(総合アパレル,レディス,メンズ,デザイナー,ベビー・子供服,インナーウエア・靴下,スポーツウエア,ジーンズ・ユニフォーム)計1476 社について,複雑ネットワーク分析を実施した.全体1476 社についてと代表的な3 分野として,総合アパレル217 社,レディス603 社,メンズ202 社のそれぞれの取引関係数について,次数分布の両辺対数変換を施したところ,全体と3 分野それぞれにおいて,べき指数 γ ⋍ -2 の自己相似的構造が確認された.また,全体と3 分野のそれぞれはネットワーク直径が6 次以下であるスモール・ワールド性も確認された.さらに,ネットワークの中心性に関する指標により,繊維・アパレル産業の多くの分野で,商社がネットワークの中心的な取引を展開していることが判明した.