日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
低親和性自己抗体の関連が疑われたクームス陰性自己免疫性溶血性貧血の一例
中村 こずえ山本 美佳智小山 隆之三牧 正和亀崎 豊実
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2017 年 54 巻 5 号 p. 433-437

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抄録

自己免疫性溶血性貧血(AIHA)症例の約10%は直接クームス試験(DAT)が陰性である.DAT陰性となる要因の一つとして低親和性赤血球自己抗体が関係することがある.低親和性赤血球自己抗体によるAIHAが示唆された重症貧血(Hb 5.3 g/dL)の4歳1か月女児を報告する.症例はAIHAが疑われたが,試験管法DATは陰性であった.ステロイド治療したところ貧血の改善を認めDAT陰性AIHAと診断した.貧血の程度はステロイド量に依存したため,rituximabの治療を行った.部分改善となり診断5年後には治療は行っていない.数日間冷蔵保存しておいた診断時の検体で測定したDAT抗C3bC3dが陽性であることが,後日明らかになったため,さらに詳しい検討を行った.診断5年後の検査では,赤血球洗浄の必要はないカラム凝集法DAT抗IgGが陽性であった.洗浄した赤血球でカラム凝集法を行ったところDAT陽性は減弱した.この結果より低親和性赤血球自己抗体の存在が示唆された.

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© 2017 日本小児血液・がん学会
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