農業土木学会論文集
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表面排水による粘土質土壌流出量の固相率依存性
末継 淳佐藤 孝金田 吉弘佐藤 敦
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2006 年 2006 巻 242 号 p. 179-187

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抄録

表面排水による土壌流出は, 土壌養分の減耗と周辺水系の水質悪化の原因となっている. しかし, 粘土質の農地土壌の流出特性を正確に再現できる理論の適用は十分ではない. 本研究では, 土壌の液性限界値と土壌懸濁液の粘性を考慮した土壌流出モデルを提案し, スルースゲート装置・掃流水路を用いた実験と水田の代かき排水時の調査結果と比較した. その結果, 土壌の固相率を低下させ過ぎると, 排水時の土壌流出量が著しく増大することが確認された. この傾向は, 液性限界値を評価した本研究のモデルで再現できた. しかし, 団粒構造が発達した火山灰土では, 土壌流出量が小さく推定された. また, 農地での表面排水時の土壌流出が排水口付近で非常に局所的に生じることが, 水田の湛水深・洗掘深測定で確認され, 本研究のモデルでも再現されたが, 圃場での正確な土壌流出量の予測は今後の課題となった.

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© 社団法人 農業農村工学会
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