本報は, 改革開放以来の中国における農業的土地利用を分析し, その問題点を指摘した。すなわち,(1) 中国の自然条件は多種多様で, 地形・気温と降水量の空間的組合わせは, 中国の土地利用の分布に影響を与える最も重要な因子である。(2) 人口が多いため, 1人当たりの土地資源は少ない。(3) 農業的土地利用の空間的分布パターンは, 秦嶺山脈一淮河ラインより北に畑作地域, その南に稲作地域さらに内陸部に牧畜業地域になっている。(4) 耕地面積は減少しつづけながらも, その勢いは衰えている。(5) 自然災害の影響を受けやすく, 農業近代化が立遅れている。基本農田の保護や農業インフラ, 特に灌漑施設の整備は不可欠である。