集落を流下する農業用水は, 洗い場等における生活用水としての利用のほか, 子供の遊び場や水辺景観の形成などを通じて農村環境を向上させる役割を果たしてきた。本報では, 地理情報システム (GIS) を用いて, 水路配置などの立地条件と地域用水利用の関わりを明らかにする手法について述べる。そして, 事例地区において,(1) 地域用水の利用形態の地理的分布,(2) 洗い場利用の減少とその要因,(3) 地域用水に関する住民意識と地理的分布等について検討した。調査結果から, 洗い場の利用等の地域用水利用は, 用水路との位置関係を含めた空間的要因に大きく依存し, 条件がそろった集落では, 今日でも洗い場利用が, 住民の生活に定着していることが判明した。