臨床血液
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症例報告
Venetoclax+azacitidineにて細胞遺伝学的効果が得られたDNMT3AIDH2変異を有する高齢難治性急性骨髄性白血病
國定 浩大松岡 亮仁芳田 峻典田岡 輝久
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2022 年 63 巻 12 号 p. 1621-1625

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抄録

全身状態良好な高齢難治性急性骨髄性白血病(AML)に対する至適レジメンは確立されていない。今回我々はDNMT3AおよびIDH2変異を有し,標準化学療法に抵抗性であったが,venetoclax+azacytidine(VEN+AZA)療法が有効であったAMLの1例を経験した。症例は71歳男性,末梢血に芽球を伴う汎血球減少を認めたため当科紹介入院。骨髄穿刺にてDNMT3A R882H,IDH2 R172K変異を伴うAML(WHO分類2017:AML-NOS)と診断され,減量idarubicin+cytarabineによる寛解導入療法を受けたが,骨髄にてDNMT3A変異細胞を伴う20%の骨髄芽球残存を認めたため,寛解導入不全と診断された。IDH2DNMT3A変異を有するAMLへの有効性が報告されているVEN+AZA療法による再寛解導入療法を施行した結果,完全寛解を達成し,DNMT3A変異細胞が著減して9ヶ月以上の無再発生存中である。VEN+AZA療法は従来法に抵抗するDNMT3AおよびIDH2変異を有する高齢者AMLに対しても有効である可能性がある。

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© 2022 一般社団法人 日本血液学会
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