臨床血液
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症例報告
汎血球減少の長期経過後に明らかとなった辺縁帯リンパ腫様の骨髄原発リンパ腫
野上 彩子山本 正英山本 浩平伊藤 雅文梅澤 佳央東田 修二三浦 修福田 哲也
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2020 年 61 巻 10 号 p. 1469-1475

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抄録

症例は45歳男性。汎血球減少より,再生不良性貧血と診断された4年後に当科を受診した。骨髄検査では赤芽球の異形成および,trisomy 3を含む染色体異常を認めた。3ヶ月後の骨髄検査では異常リンパ球(5%)が出現し,表面形質からB細胞性腫瘍を疑った。その5ヶ月後,末梢血中に突起を有する白血球の増加とPETで骨髄への異常集積を認めた。骨髄検査にてCD19陽性,CD11c弱陽性,CD25,CD103およびcyclin D1陰性,κ»λの異常リンパ球の増加と,初診時と同様の染色体異常を認めた。電顕像およびBRAF変異陰性を確認し辺縁帯リンパ腫様骨髄原発悪性リンパ腫の診断に至った。R-CHOP,R-cladribine療法に抵抗性であり,血縁者間同種末梢血幹細胞移植を施行後9年の寛解を得た。本疾患に関する報告は乏しく,標準治療や経過は明らかではない。治療反応性と予後を知る上で貴重な症例であり報告する。

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© 2020 一般社団法人 日本血液学会
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