臨床血液
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症例報告
レナリドミド・デキサメタゾン療法を施行したPOEMS症候群
後藤 亜香利井山 諭須釜 佑介吉田 正宏井畑 壮詞舘越 鮎美藤田 千紗菊地 尚平池田 博村瀬 和幸高田 弘一加藤 淳二小船 雅義
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2019 年 60 巻 4 号 p. 308-313

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抄録

POEMS症候群に対してlenalidomide(Len)-dexamethasone(Dex)(Ld)療法を施行した3例を報告する。症例は,69歳女性,51歳男性,59歳男性の3例で,末梢神経障害を主訴に受診した。全例でvascular endothelial growth factor(VEGF)の異常高値を認めた。重篤な末梢神経障害を有することから,神経毒性の少ないLd療法を選択した。全例で血清VEGFの低下と神経症状の改善を認めた。1例は自家移植後,2例はLd療法継続中である。本症候群の標準治療は確立されていないが,多発性骨髄腫に準じた治療法が選択されることが多く,自家移植や新規薬剤の有効性が報告されている。本邦ではthalidomide(Td)を用いたランダム化比較試験が行われ良好な治療成績が報告されたが,bortezomib(Bor)と同様に薬剤性神経障害の増悪が懸念される。LenはTdやBorに比較して神経障害の発症率が低く,本症候群の治療に有用であると考察される。

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© 2019 一般社団法人 日本血液学会
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