臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
28 (EL1-2A)
多発性骨髄腫の分子病態研究の進歩
花村 一朗
著者情報
ジャーナル 認証あり

2019 年 60 巻 9 号 p. 1236-1242

詳細
抄録

ゲノム解析技術の進歩により,多発性骨髄腫(multiple myeloma, MM)の複雑なゲノム異常とその進展様式が解明されつつある。MMは高2倍体またはIgH転座により発症し,続発するゲノムコピー数変化や遺伝子変異などにより,ダーウィン進化論的に進展する。発症に関わるIgH転座はt(4;14),t(11;14),t(6;14),t(14;16),t(14;20)で,それぞれMMSET/FGFR3CCND1CCND3MAFMAFBが活性化される。染色体コピー数変化のうち1q21高コピーや17p欠失は強力な予後不良因子である。遺伝子変異は,多くの遺伝子に低頻度で認められ,N/KRASに最も多く認められる。新規ゲノム異常の病的・臨床的意義が検討されており,分子基盤に基づいた個別化治療に向けた取り組みも始まっている。本稿ではMM分子病態のプロファイルとその臨床応用について概説する。

著者関連情報
© 2019 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top