臨床血液
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症例報告
ビタミンB6が著効したALAS2 R452H変異陽性X連鎖性鉄芽球性貧血
川上 徹中澤 英之川上 史裕松澤 周治須藤 裕里子酒井 均仁科 さやか妹尾 紀子妹尾 寧小松 通治梅村 武司山口 智美古庄 知己藤原 亨張替 秀郎石田 文宏
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2018 年 59 巻 4 号 p. 401-406

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抄録

易疲労感と手指関節痛を主訴に受診した45歳男性。18歳時にも鉄芽球性貧血を疑われた既往があるが通院が途絶えていた。受診時小球性貧血と血清フェリチンの著増があり,骨髄検査では環状鉄芽球の増加を認めた。肝生検ではヘモクロマトーシスと肝硬変の所見を認めた。遺伝子検査の結果,ALAS2遺伝子のR452H変異が認められ,X連鎖鉄芽球性貧血(XLSA)と診断した。葉酸,経口ビタミン(Vit)B12製剤の投与では貧血の改善はみられず,経口VitB6製剤を追加することで7 g/dl台だったHbは11 g/dl台まで上昇し,鉄過剰症に伴う臓器障害の改善を図るべく瀉血も可能となった。これまでの報告ではALAS2 R452H変異はVitB6に反応しにくいとされていた。本例のような反応良好例の蓄積によってXLSAの病態および治療法の解明が進むと考えられる。

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© 2018 一般社団法人 日本血液学会
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