2017 年 58 巻 10 号 p. 2160-2167
急性白血病は,青年期および若年成人期(AYA世代)の代表的な悪性腫瘍である。最近の遺伝子解析技術の進歩により,AYA世代の急性リンパ性白血病(ALL)ではPh-like ALLやDUX4,ERG,MEF2D,ZNF384などの変異の頻度が高いこと,急性骨髄性白血病(AML)では,FLT3-ITD,NPM1,IDH1/2,DNMT3A,ASXL1,TET2,CEBPA変異などが小児と比較して多いことが報告されている。ALLでは小児型治療がAYA世代の標準治療として確立されつつあるが,AMLにおいては小児型治療と成人型治療との優劣は明らかでない。小児血液・腫瘍医と成人血液内科医との密な連携によって,AYA世代の急性白血病治療の最適化を図ると同時に,遺伝子解析等で得られた最新の知見をもとに,新規治療の開発を行い,さらなる治療成績の改善を図る必要がある。