臨床血液
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症例報告
Imatinib投与中止後も分子遺伝学的完全寛解が持続している同種造血幹細胞移植後再発慢性骨髄性白血病
五十嵐 哲祥林 敏昭安井 寛池田 博高橋 徹石田 禎夫篠村 恭久
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2012 年 53 巻 2 号 p. 215-218

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抄録

同種造血幹細胞移植後に再発した慢性骨髄性白血病(CML)に対し,imatinib mesylate (IM)を投与し免疫抑制剤を中止したところ,副作用のためIM投与を約2か月で中止したにもかかわらず分子遺伝学的完全寛解が持続している症例を報告する。症例は30歳女性。2008年5月に左側腹部違和感を主訴に近医を受診し,脾腫とフィラデルフィア染色体を認め,CML(移行期)と診断された。IMの内服を開始し,同胞とHLAが一致したため当院を紹介され,同年10月に同種末梢血幹細胞移植が行われた。急性GVHDを認めずに分子遺伝学的完全寛解が得られたが,6か月後に血液学的再発をきたしたため,IM投与を再開し免疫抑制剤を減量・中止した。骨髄抑制のためIM投与を2か月で中止したが,その後もFISH検査によるbcr-abl陽性率は低下を続け,移植1年後には分子遺伝学的完全寛解が確認された。IM中止から2年以上経過した現在まで再発を認めていない。同種造血幹細胞移植後に再発したCMLに対しIMを投与することにより腫瘍量が減少し移植片対白血病効果が顕在化した可能性が考えられた。

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© 2012 一般社団法人 日本血液学会
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