臨床血液
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臨床研究
アレル特異的PCRを用いたマラリアの診断
岡山 直子服部 幸夫定光 大海中野 かおり
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1999 年 40 巻 4 号 p. 299-304

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抄録

過去4年間に当病院検査室にマラリアの診断を依頼された13例中8例でマラリア原虫が同定された。日常検査では炎症反応とともに肝機能障害,血小板減少症,LDH高値が目立ち,また異型リンパ球が全例に見られた。異型リンパ球の出現はマラリアとの情報のない場合に検査室でマラリアが気付かれるきっかけとなる可能性がある。マラリアの疑いとの情報が与えられている場合は顕微鏡法に遺伝子診断を併用することにより,顕微鏡法で難しい種別,マラリア原虫の混合感染の有無,血中からの消失をマラリア全症例で正確に知ることができた。マラリア標本3例,非マラリア3例につき,マラリアに習熟していない若手技師9名のマラリア原虫同定技能を計ったところ,マラリアの疑いとの情報なしではマラリア全例の正解者は皆無であったが,情報があれば4名が全例正解を出した。顕微鏡によるマラリア原虫の検出は技師の技量に左右されるが,僅かな臨床情報と遺伝子診断の併用で著しく診断精度が高まると思われる。

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© 1999 一般社団法人 日本血液学会
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