2008 年 49 巻 12 号 p. 1619-1622
症例は86歳男性。2007年6月に腰痛を主訴に近医を受診,CTで腰椎圧迫骨折と脾腫を認めた。末梢血検査で白血球増多を認め,同月に当科へ紹介入院した。肝臓を1 cm・脾臓を1 cm触知,WBC 38,100/μl, 91%が大型で明瞭な核小体を有する異型細胞であった。RBC 292万/μl, Hb 9.8 g/dlと軽度の貧血を認めた。病的細胞の表面抗原はsIgM(+), sIgD(+), CD5(-), CD19(+), CD20(+), CD22(+), FMC7(+), TdT(-)で,染色体検査で14番染色体長腕の異常を認めた。B-cell prolymphocytic leukemia (B-PLL)と診断し,脾照射を合計20 Gy施行した。照射後2週間で末梢血中の病的細胞が消失,Hbは11.7 g/dlと上昇し左腰背痛も軽快した。高齢者のB-PLLに対し脾照射は安全で有効な治療法と考えられた。