2001 年 98 巻 7 号 p. 795-808
肝細胞癌の画像診断の最近の進歩には目を見張るものがある.血流・形態・機能という3つのアプローチの中でも特に血流動態的アプローチが最近では診断の主流となってきている,中でも侵襲的な方法ではあるがCO2動注造影エコー法あるいはCTと血管造影と組み合わせた動注CT(CTHA)及び門脈造影下CT(CTAP)などにより結節の血流動態的アプローチから古典的肝癌,初期の高分化型肝癌あるいは境界病変などの診断が可能となってきている.またFeridex MRIを用いることにより機能的な面からの診断もなされつつある,最近のトピックスとして超音波造影剤Levovistが臨床使用可能となり,同時に造影ハーモニックイメージングが急速な進歩を見せておりLevovistを静注することにより,real timeにCO2動注造影エコー法と同等の空間分解能,時間分解能,濃度分解能あるいは血流検出感度を有するハーモニックイメージが得られるようになってきた.この手法は肝細胞癌の診療における5つの役割のうち鑑別診断に寄与するのみでなく,肝細胞癌の治療後の効果判定や再発診断さらにはCT,MRで同定された遺残癌の超音波断層画像上における局在診断,さらには造影下治療への道を開く画期的な手法となりつつある.まさに造影ハーモニックイメージングは肝細胞癌の診断と治療のstrategyを変えつつある