日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成21年度日本調理科学会大会
セッションID: 1P-46
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養殖エビにおける残留抗菌剤の調理加工による消長
*宇野 和明ティダポーン チャウィーパック宇野 良子リラ ランパン
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抄録


【目的】近年、タイ国などの東南アジア諸国はバナメイエビを盛んに養殖して、輸出している。また、エビ殻はキチン・キトサンに加工されサプリメント素材として輸出されている。現在、エビ養殖過程で発生する疾病の治療薬としてオキシテトラサイクリ(OTC)やオキソリニック酸(OA)が広く用いられており、これらの体内残留が食品安全上憂慮される。本研究では、エビ筋肉及び殻に残留する抗菌剤の調理・加工による消長について調べた。
【方法】供試エビにタイ国チャンタブリ県産のバナメイエビ(Penaeus vannamei)及び供試抗菌剤としてOTC及びOAを用いた。抗菌剤を餌料に混ぜ、投与量が50 mg/kgとなるように強制経口投与を行った。投与6時間後にエビを取り上げ、筋肉及び殻をHPLC分析に供した。ついで、それらを「茹でる(沸騰水中4分)」、「焼く(200℃, 4分)」及び「揚げる(180℃, 1分)」の処理を行った。殻については、酸 (1M-HClに1時間浸漬) 及び アルカリ (1M-NaClに1時間浸漬) 処理した。各処理後、HPLC分析を行い、残留抗菌剤の減少率を求めた。
【結果】筋肉において残留OTCは茹でる、焼く及び揚げるの加熱調理により30~50%消失した。一方、殻では20~30%の消失にすぎず、加熱調理に対して殻における残留OTCは安定であった。酸処理では80%以上の消失が認められ、処理液中にそのほとんどが検出された。アルカリ処理では約30%の消失であった。残留OA は茹でることにより筋肉及び殻とも40~65%消失した。しかし、焼く及び揚げるでは筋肉で10%、殻で20~30%の消失であった。アルカリ処理で残留OAは70%、酸処理でも60%の消失が認められた。なお、本研究は平成18~20年度科学研究費補助金基盤研究(C)(No.18500613)により行われた。

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© 2009日本調理科学会
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