結核
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結核治療における維持期週2回間欠療法の治療終了2年後の再発について
和田 雅子奥村 昌夫星野 斉之御手洗 聡大森 正子内村 和広吉山 崇尾形 英雄
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2008 年 83 巻 4 号 p. 353-358

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抄録

〔目的〕肺結核症に対する維持期週2回間欠療法の治療終了2年後の再発率を調査し,維持期間欠療法の効果を調べる。〔方法〕INH,RFPの両剤が感受性の初回治療肺結核症でPZAを加えた標準治療を開始し,維持期週2回INH,RFPを保険薬局DOT下に服用することに同意した患者を対象とした。副作用のためにINH,RFP,PZAのいずれかの薬剤が中止された例,治療期間中観察不能の例は除外した。同じ条件を満たし,維持期毎日自己服用した患者を対照とし,治療成績を比較した。〔結果〕研究対象例全例が所定の治療を終了し2年以上経過していた。維持期週2回間欠療法に参加した例は135例あったが,3例は副作用のため中止し,11例は初期強化期間を延長していたため分析から除外した。残りの121例中治療終了後6カ月以上経過観察された例は105例であった。対照例では治療終了した例は240例で,このうち37例は副作用のため不規則治療,他薬剤の追加,または治療期間を延長されていたため分析から除外した。残りの203例中6カ月以上経過観察された例は147例であった。週2回間欠療法を受けた105例中4例(3.8%),毎日自己服用した147例中5例(3.4%)に再排菌がみられた。それぞれ再発率は1.89/100人・年.1.86/100人・年で,両群の再発率には統計学的に有意差はみられなかった(z=0.36p=0.14)。〔結論〕維持期週2回間欠療法は,治療自己中断はなく,再発率も毎日療法と同様であり有効な治療法である。今後日本の標準化学療法の一つとして医療基準に採用されるべきである。

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