人工臓器
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透析膜のタンパク質除去における吸着の影響
小久保 謙一黒田 茂酒井 清孝
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1995 年 24 巻 3 号 p. 717-720

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抄録

低分子量タンパク質は、透析膜を吸着しながら拡散する。したがって、その除去に適した膜について考察するためには、吸着を考慮した溶質の膜内移動現象を明らかにする必要がある。そこで、ポリアクリロニトリル膜(PAN-CX2, -DX)、ポリスルホン膜(PS-UW)からなる透析器を作成し、チトクロームCの除去量の経時変化を測定し、物質取支より各時間における除去量および膜内の蓄積量を算出した。チトクロームCの除去速度は初期において人きく、ある時間ののち一定速度となった。特に、吸着量が多いPAN膜は、初期における除去速度が大きく、また、初期における除去量は、そのほとんどが吸着による膜内への蓄積量であった。以上の結果より、膜への吸着量が多く、吸着速度が速いタンパク質は、特に初期において除去速度が速く、その膜によって効率よく除去されると考えられる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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