人工臓器
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ポリラクタイドの生体内分解に関する研究
中村 達雄水野 浩田村 康一加藤 弘文人見 滋樹渡部 智清水 慶彦K. JAMSHIDI玄 丞烋筏 義人
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1986 年 15 巻 1 号 p. 264-267

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抄録

ポリラクタイドの生体内分解速度を規定する因子として重合組成、分子量、重合収率、分子配列の規則性が考えられる。各因子の分解速度に与える影響を調べるために、種々の乳酸(LA)ポリマー、乳酸ーグリコール酸(LA-GA)共重合体の標準プレート(20×10×2mm3)を用いて家兎皮下筋肉でin vivoの実験を行なった。重合組成ではLAの比率の大きいほど分解が遅く、P-LAの中ではD, L体に比べL体の分解が遅かった。重合収率に関しては残在モノマーが多い材料の分解は早く、分子量の低下も急激におこった。精製PLAの分解はきわめておそく、埋入6ケ月後に分子量は50%以下に低下したが重量減少はなかった。SEMを用いた観察でも、残存モノマーを含む材料は分解初期にφ10μ程度のmicro porous構造になり分解が進んでいくが、精製した材料は長期埋入後も表面から内部に進むmioro porous構造は生じなかった。
以上より生体内分解材料としてポリラクタイドを用いるときは、含有低分子物の分解速度に及ぼす影響の重要性が示唆された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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