2018 年 47 巻 2 号 p. 154-166
3次元点群のレジストレーションは,モデリングやオブジェクト認識などの応用技術の前処理としてよく使われる.進化計算による方式は,初期位置に依存せず高精度にレジストレーションできるという特長をもつが,他の方式と比較して計算量が大きいという問題がある.この原因は,評価関数を求めるための最近傍探索回数が多いためと考えられる.探索回数の削減には点群のリサンプリングがよく用いられるが,これはレジストレーション精度が低下することが多い.そこで,キーポイントの周囲の点のみを抽出した点群(キーポイントパッチ) を進化計算によるレジストレーションに用いる手法を提案する.また,更なる高精度化及び高速化を実現するため,境界の活用によるオクルージョンの悪影響の低減,キーポイントパッチの個数削減,キーポイントパッチのリサンプリングによる点数の削減を提案する.8種類のデータセットを用いた実験結果から,提案方式は従来方式と比較して,レジストレーション精度を維持しつつ約100倍以上高速化できることを確認した.