都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
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高齢者の趣味活動・スポーツ参加と近隣施設密度の関係
名古屋市におけるJAGESのパネルデータを用いて
金 洪稷樋野 公宏薄井 宏行花里 真道高木 大資近藤 尚己近藤 克則
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 54 巻 3 号 p. 1490-1495

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抄録

本研究では,近隣施設の密度と高齢者の社会活動参加頻度の変化の関係性を分析した.その結果,自己選択バイアスを考慮したパネルデータを用いた分析により,いくつかの種類の都市施設の密度は,高齢者の社会活動参加の多寡だけではなく,社会活動参加の増減とも関係していることが示された.つまり,都市部において,都市施設の立地誘導は高齢者の社会活動参加を促進するための一つの策になり得る.また,特に食料品店の場合,一定水準までは,より近い方が良い反面,近過ぎると社会参加が少なくなることを確認した.高齢社会において,自治体または居住者が日常的な買い物をしやすい近隣環境を考える際には,食料品店までの近接性だけではなく,社会参加に繋がる可能性も考慮する必要があると思われる.例えば,買い物弱者対策として宅配や移動販売に加えて,買い物に伴う交流にも目を向ける必要がある.

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© 日本都市計画学会
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