都市計画論文集
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1930年代の「遊覧都市」大津における観光資源の分布と都市計画の呼応関係
『観光の近江』に掲載された名所との関わりに着目して
永瀬 節治
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2019 年 54 巻 2 号 p. 114-123

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抄録

本研究は、1930年代に「遊覧都市」を標榜した大津市および周辺地域における都市計画と観光資源の実質的な関係性を明らかにするものである。1920年代までの鉄道等の交通網の形成と観光振興の動向を整理し、大津都市計画における街路網計画と風致地区の全体像を既往研究や関連史料をもとに概括した上で、同時期に滋賀県が発行した観光案内書『観光の近江』に記載された名所の分布と、街路網計画および風致地区との空間上の関係を地形図上で分析した。主要な知見として、第一に、街路網は観光資源相互を結節するとともに、公共交通機関利用後の徒歩による観光資源へのアクセスを改善する形で配置された。第二に、都市計画街路は風致地区内に存在する大半の社寺や景勝地等へのアクセスを向上させ、風致地区の公園的利用と文化財の観光資源化を促すよう計画されていたと考えられる。

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