2018 年 53 巻 3 号 p. 558-564
人口減少が進むと全ての拠点で一定水準以上の都市機能を確保することは困難となることから,拠点間で都市機能を分担し,公共交通での拠点間移動を通じて補完していく必要性がある.特に地方都市では人口減少の影響が大きいことから市町村間の連携が必要とされている.本研究では公共交通での拠点間移動可能性を複数の市町村を含む範囲で把握することで,今後都市機能の拠点間補完を考える際の一助とすることを目的とする.分析の結果,現状の公共交通サービス水準で都市サービス施設を拠点間補完できる箇所がある一方,拠点間移動を促すのに運行頻度が十分でない公共交通が多いことも示された.あわせて他市町村の拠点に移動することで享受可能な都市サービス施設数がどの程度増加するかという市町村間連携のポテンシャルを提示した.