2018 年 53 巻 3 号 p. 1297-1304
本研究は、今後の民有地緑化のあり方を考察するために、日本の緑化を誘導するための条例等において採用されている定量的な誘導基準を分類し検討することを目的としたものである。調査の結果、都道府県の27.7%、政令指定都市の85%が定量的緑化誘導規定を保有しており、さらに緑化量のみならず配置に関する規定や建築物上の緑化に関する規定などが存在していることが分かった。全体を分類の結果、こうした緑化誘導は7つの規定から体系化されることが確認できた。また、名称や制定年代により、条例等は社会的要請を反映した4期に分類されることが分かったが、7つの規定の組み合わせと時代性には強い関係性は見られなかった。この研究により、今後の緑化誘導においては7つの規定をどのようにコントロールするか、どの規定の強度を高めるか、どのような新しい規定を付加するか、を議論することによって新たな制度設計が可能になる。