2016 年 51 巻 3 号 p. 755-761
本研究は、改正まちづくり三法前後の10年間(2003年から2012年)に移転を行った70病院を対象にしたアンケート調査、及びケーススタディ病院へのヒアリング調査を行い、病院移転による立地変化の動向、公共交通網の交通アクセス性等の観点から分析することにより、病院移転における立地ニーズと敷地選定プロセスを明らかにすることを目的とする。調査結果として、改正まちづくり三法の施行によって、病院の立地が大幅に変化したとは言えない状況であった。病院移転時の立地ニーズと敷地選定プロセスでは、移転前敷地の近隣であること、及び移転の早期実現を重視する傾向が明らかになった。また、病院が立地する都市が持つ鉄道インフラ構造によって、病院の立地ニーズは大きく異なる傾向があることが明らかになった。