2002 年 64 巻 4 号 p. 76-84
本報では新しい操舵制御アルゴリズムについて報告する。既報において開発したステアリングコントローラは主に直線経路を追従させることを目的に開発したものであり, 曲線追従の精度を保証するものではない。しかし, 本システムのロボットトラクタとしての完成度を高めるためには, 農道移動や任意経路の走行を可能にする必要があり, 曲線追従精度の向上が不可欠である。本報では最適レギュレータを適用した操舵制御アルゴリズムを開発し, 実機実験によって従来法であるPI制御器と曲線経路への追従精度の比較を行った。直角経路, 正弦波経路, そして前報で考案した前進旋回の経路に対して精度比較を行った結果, すべての経路において従来法よりも精度よく経路に追従できることがわかった。また3.0m/sの高速走行の試験も行った結果, 従来法と比較してr.m.s.誤差で38%精度が向上した。