本研究では,先行研究で既に通常歩行が映った動画像と走行や実験室内での模擬的な転倒動作が映った動画像とを識別できることが報告されている,CHLAC特徴に基づく動画像認識技術を用いて,これまでは達成されていない,1)実際の転倒やそのインシデントを同技術で識別できることの確認と,2)歩行中のさまざまな日常動作が同技術での識別に及ぼす影響の確認に取り組んだ。その結果,1)通常歩行時の動画像のみを学習データとすることで,偶然撮影された実際のインシデント(つまずき)発生シーンも異常状態として検出可能である,2)ただし通常歩行時の動画像のみを学習データとした場合には,荷物が大きい場合や,動きが大きい日常動作を異常として過検出してしまう場合がある,および3)通常歩行時の動画に加えて日常生活中のさまざまな動作を含む歩行の動画像も学習データに加えて学習させることで,荷物や動作の有無に関わらず偶然撮影された実際のインシデント(つまずき)発生シーンのみを異常状態として検出可能である,の3点が明らかとなった。