2015 年 21 巻 2 号 p. 99-108
Acceptance and Commitment Therapyにおいては、言語刺激が有する機能を変容するため、脱フュージョンという技法が用いられる。この脱フュージョンを目的として用いられる技法の1つとして、Word Repeating Technique(以下、WRT)がある。本研究の目的は、異なる言語刺激を用いたWRTと言語刺激に対する曝露が、言語刺激が有する機能や不安症状などの各種指標に及ぼす影響の差異を検討することであった。49名の大学生および大学院生を、中性的な言語刺激のみを用いるNeutral-Defusion群、苦痛度の高い言語刺激のみを用いるNegative-Defusion群、中性的な言語刺激と苦痛度の高い言語刺激の両方を用いるBoth-Defusion群、苦痛度の高い言語刺激に対する曝露を行うVerbal-Exposure群に無作為に割り当て、介入効果の差異を検証した。データ解析の結果、WRTは、言語刺激に対する曝露とは各種指標に及ぼす影響が異なることが示された。加えて、苦痛度の高い言語刺激を用いたWRTにおいては各種指標の改善に対する短期的な効果が認められる可能性が示唆された。また、中性的な言語刺激を用いたWRTが含まれる場合、言語刺激が有する回避機能の減弱や主観指標の改善に対する長期的効果が認められる可能性が示唆された。