行動医学研究
Online ISSN : 2188-0085
Print ISSN : 1341-6790
ISSN-L : 1341-6790
原著
異なる言語刺激を用いた脱フュージョン方略および言語刺激に対する曝露が不安症状に与える効果の差異の検討
佐藤 友哉 橋本 塁前田 駿太山下 歩嶋田 洋徳大月 友
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2015 年 21 巻 2 号 p. 99-108

詳細
抄録

Acceptance and Commitment Therapyにおいては、言語刺激が有する機能を変容するため、脱フュージョンという技法が用いられる。この脱フュージョンを目的として用いられる技法の1つとして、Word Repeating Technique(以下、WRT)がある。本研究の目的は、異なる言語刺激を用いたWRTと言語刺激に対する曝露が、言語刺激が有する機能や不安症状などの各種指標に及ぼす影響の差異を検討することであった。49名の大学生および大学院生を、中性的な言語刺激のみを用いるNeutral-Defusion群、苦痛度の高い言語刺激のみを用いるNegative-Defusion群、中性的な言語刺激と苦痛度の高い言語刺激の両方を用いるBoth-Defusion群、苦痛度の高い言語刺激に対する曝露を行うVerbal-Exposure群に無作為に割り当て、介入効果の差異を検証した。データ解析の結果、WRTは、言語刺激に対する曝露とは各種指標に及ぼす影響が異なることが示された。加えて、苦痛度の高い言語刺激を用いたWRTにおいては各種指標の改善に対する短期的な効果が認められる可能性が示唆された。また、中性的な言語刺激を用いたWRTが含まれる場合、言語刺激が有する回避機能の減弱や主観指標の改善に対する長期的効果が認められる可能性が示唆された。

著者関連情報
© 2015 日本行動医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top