日本物理学会誌
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層間化合物とその物性 : グラファイト・アルカリ金属層間化合物を中心として
井下 猛上村 洸寿栄松 宏仁田沼 静一中尾 憲司
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1980 年 35 巻 2 号 p. 116-128

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抄録

最近層状構造をもつ物質の層間に異種の物質を挿入して層間化合物とよばれる新しい金属物質をつくる研究が盛んに行われている. 母体となる層状物質もグラファイトや遷移金属カルコゲン化合物等数多く知られており, それに挿入しうる物質も原子, 分子, 有機錯体を含めて甚だ多いことから, その組合せによって実に多種多様の層間化合物をつくることができ, その物性は極めてバラエティに富んでいる. 本解説では, このような層間化合物の最近の研究の発展をふまえて, 何故層間化合物は今日多大な関心を集めているのか, 層間化合物はどのような特異な物性を示し, また特徴ある電子構造をもっているのか等の点を中心に, 入門的解説を行う. 特に本解説を通じて層間化合物の物性は未だ未開領域をかかえ探険の可能性を秘めた分野であることを強調したい.

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