熱測定
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鉱物の相関係と地球内部の構造
赤荻 正樹
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2005 年 32 巻 3 号 p. 141-147

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抄録

地球内部の高温高圧状態では,構成鉱物は相転移を起こし,密度の高い構造に転移する。マントルでは複数の地震波速度が急増する深さがあり,これらの深さでマントルに最も豊富に存在する(Mg,Fe)2SiO4オリビンがスピネル構造を経て,ペロブスカイト型(Mg,Fe)SiO3と岩塩型(Mg,Fe)Oに分解する。これらの高圧相転移に関する平衡相境界線は,高温高圧実験によって,また熱測定データに基づく熱力学計算により,正確に決められており,それからマントルの温度分布が推定された。またオリビンに次いで豊富に存在するパイロキシンとガーネットの高圧相関係も高圧実験と熱力学計算により解明されており,これらを総合してマントル遷移層と下部マントルの構成物質がほぼ明らかにされている。最近の超高圧実験では,マグネシウムに富むペロブスカイトがマントル最下部でさらに相転移を起こすことが強く示唆されている。

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