眼窩壁骨折は,顔面外傷でよく遭遇する疾患である。待機的手術がほとんどだが,受傷直後は腫脹が強く手術適応の判断がむずかしいことが多い。そこで今回,福井赤十字病院形成外科にて2007年から2016年の10年間に経験した眼窩壁骨折症例に関して後ろ向きに調査し,手術適応の検討を行った。全症例数は94例であり,うち37例に手術を施行した。骨折壁の種類では下壁単独骨折および内壁+下壁の合併骨折,骨折タイプではBurst type,骨折の前後方向では前方骨折でそれぞれ手術率が高い傾向を認め,なかでも下壁のBurst type骨折,下壁優位型合併骨折におけるBurst type骨折ならびに前方骨折では特に手術率が高かった。また組織突出度が10mmを超える症例,下壁の眼窩内容逸脱量が多い症例でも手術となる症例が多い傾向にあった。これらの傾向は,手術適応を判断する際の一助になると考えられる。