心臓
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症例 レートドロップレスポンス機能を有するペースメーカーと交感神経作動薬の併用療法が有効であった頸動脈洞症候群の1例
前田 法一熊田 全裕岸本 正彦西田 義治安冨 保治平岡 久豊
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1999 年 31 巻 10 号 p. 725-730

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抄録

症例は79歳,男性.1996年12月左口蓋腫瘍に対して化学療法と放射線療法を施行.1997年8月同部位への腫瘍の再発を認め,再入院となった.入院後,体位・体動とは関係なく重篤な失神発作が頻回に出現.発作時は著しく徐脈となり,血圧も触診で50mmHgまで低下した.頸動脈腫瘤を有することから本症例を頸動脈洞症候群に伴う失神と診断し,第5病日目にDDDペースメーカーを植え込んだ.しかしながらペーシングが作動するにもかかわらず,血圧低下を伴う発作が出現するため,間接作用型交感神経作動薬ameziniumを投与するとともに,発作時の急激な心拍数低下を感知し高頻拍で一時的ペーシングを行うレートドロップレスポンス(RDR)機能を作動させた.RDR作動後は2度の軽い発作を認めたのみで,直接作用型交感神経作動薬midodrineを追加併用することにより失神は全く生じなくなった.
頸動脈洞症候群に起因する失神に対してレートドロップレスポンス(RDR)機能を有するDDDペースメーカーと交感神経作動薬との併用療法が奏効した症例を経験したので報告する.

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