脳と発達
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Cockayne症候群
姉妹例の報告と本邦における文献的展望
橋本 俊顕日浦 恭一鈴江 純史小林 美子河野 登高橋 民夫遠藤 彰一福田 邦明
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1978 年 10 巻 6 号 p. 465-472

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抄録

Cockayne症候群の姉妹例について報告し, さらに自験例を含む本邦報告例20例の臨床像についてまとめた.
R. O. 例は生後3ヵ月頃より発達遅滞が出現し, 現在は小人症, pepper and salt type網膜色素変性, 日光過敏症, 小頭症, 運動障害, 小脳症状等があり, 典型的い本症候群と思われた.
S. O.例は生後8ヵ月頃より運動発達の遅れが出現し, 現在はpepper and salt type網膜色素変性, 日光過敏症, 小頭症, 精神発達遅滞, 小脳症状等がみられる.体格は小さいが小人症ではいかった. 本例は非典型例と考えられた.
CTスキャンでは両例とも基底核に石灰沈着がみられた. 特にR. O. 例ではコンレイ静注により基底核の石灰沈着の陰影が増強され, 脳血液関門の破壊が考えられた.
末梢神経伝導速度はR.O.例では著明に低下し, S. O. 例では正常下限ないしは軽度低下がみられた. 本症候群ではperipheral neuropathyの存在が示唆された.
本邦報告例における本症候群の臨床像は以下のごとくである.推定発症年齢は生後1ヵ月から3才, 性別は男10例, 女9例, 不明1例で差はいく, 家族歴では17家系中11家系に血族結婚がみられ, 同胞発症は3家系, 6例であり, 常染色体性劣性遺伝が考えられた. 臨床症状では精薄は20例中19例, 小人症は20例中17例, 日光過敏症は20例中16例, 網膜色素変性は20例中15例, 小頭症は20例中16例, 関節の拘縮は20例中16例であり, その他比較的多いものとして難聴, 眼球陥没, 視神経萎縮, 小脳症状等がみられた.

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© 日本小児小児神経学会
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